前回の記事では、脂質の生理作用について解説させていただきました。
脂質はとても生理作用が強く、ポイントはエイコサノイドと言われる生理活性物質です。
今回は脂質代謝とコレステロールについてです。
メタトロン測定をすると合う食べ物、合わない食べ物の中に油の項目もあり、体への生理作用が強い事から特に注意してみています。
体調管理には大切な部分ですので、もしよければ最後までお読みください。
\\今の不調と体質を可視化//
目次
脂質の代謝
脂肪の多い食品は糖質やタンパク質が主体の食品に比べ、消化の始まりが遅く、吸収に時間がかかります。
脂っこい料理を食べると長い時間空腹にならないのは、このためです。
食品に含まれる脂肪の多くは、化学的に安定した中性脂肪の形をしています。
体内に入ると中性脂肪は十二指腸で胆汁により乳化され、次に膵臓からの消化酵素リパーゼの働きで、脂肪酸を一つつけたままのモノグリセリドと脂肪酸、グリセロールなどに分解されます。
水に溶けやすいグリセロールはそのまま小腸上皮細胞から吸収されますが、モノグリセリドと脂肪酸は、腸内に分泌された胆汁酸の働きによりミセルという親水性の非常に小さい分子に取り込まれ腸管から吸収されます。
小腸上皮細胞に入った乳化物は、今度はタンパク質と結合し、カイロミクロンという大きなリポタンパク質をつくります。
引用元:Wikipedia
カイロミクロンはリンパ管から吸収されリンパの流れにのり、腹部、胸部、さらに左頸部下から鎖骨下静脈、心臓を巡って動脈に移り全身へ運ばれます。
炭素の鎖が10個以下の短い脂肪酸(中鎖脂肪酸)は、ブドウ糖やアミノ酸と一緒に門脈経由で肝臓に向かいますが、脂肪成分の多く(長鎖脂肪酸)はリンパ経由の道のりをたどります。
食後3、4時間してやっと脂肪が吸収されるのはこうした長いプロセスがあるためです。
全身に運ばれた脂肪酸は必要な細胞でTCAサイクルに入りATPを生成します。
余った脂肪酸は脂肪細胞で中性脂肪として貯蔵されます。
増え過ぎると余ってしまい肥満や脂肪肝になってしまいます。
コレステロールは肝臓で作られる。
コレステロールは三大栄養素から生成されます。
アセチルCoAを前駆体とし主に肝細胞のミトコンドリア内外を往復させて生成されます。
脂肪酸が肝臓に入り、アセチルCoAを経由してからコレステロールを生成します。
コレステロールは悪者ではない
そもそもコレステロールとは何?
特にLDLコレステロールは悪者みたいなイメージがついています。
コレステロールは生体内で合成される脂質の一種であり
・細胞膜の構成要素
・性ホルモンの原料
・胆汁酸の原料(胆汁の主原料:脂肪を消化吸収するために必須)
・ビタミンDの原料
などに使用されます。
そして、コレステロールは細胞膜の材料であり、ニューロンの髄鞘(ミエリン鞘)にも多く含まれています。
ミエリン鞘とは神経伝達回路であるシナプスにあり、神経を流れる電気刺激を跳躍させ伝達スピードを早める作用があります。
そのため体内にある全コレステロールの25%は脳に集中しています。
コレステロールは、人の正常な機能を維持するために必須の脂質です。
大切な役割があり、体内で作られています。
コレステロール値が上がるのはなぜ?
じつはコレステロールって体の中でめっちゃ活躍しています!!本当に縁の下の力持ち的な役割です。
しかし過剰に生成されている場合もあります。
よくコレステロールが高く中々下がらないと言われる方も多いです。
もしかしたら以下のような体の減少が起きている可能性があります。
①血管の細胞膜に損傷がある時、修復のためにコレステロールが必要
②慢性炎症がある時、抗炎症のためにコルチゾールが必要(アトピー性皮膚炎はCho高値を示す)
③体内でコレステロールが使えていない(ホルモン分泌の問題、胆石)
④甲状腺機能低下症になるとLDLレセプター低下(エストロゲン分泌量低下)
などが考えられます。
ここで体の不調が起きている時に発生していると考えられている慢性炎症が起きやすくなる理由もあります。
慢性炎症の理由は、過剰な糖質、過剰なリノール酸、リーキーガットシンドローム、細菌感染、真菌(カビ)感染、口呼吸などがあげられます。
以上が理由を改善していくと慢性炎症も落ち着いてきます。
また、女性はエストロゲンの影響を大きく受けます。
エストロゲンは肝細胞LDL受容体発現、甲状腺ホルモン(FT3)を活性化させ全細胞のLDL受容体発現の引き金となります。
エストロゲンが低下する更年期、閉経後、卵巣摘出後、絶食、低糖質、鉄・亜鉛・セレン欠乏、過剰なストレスでLDLは上昇します。
LDLコレステロールの上昇は結果ですので、なんで高くなるのかの根本の原因を把握することが重要となってきます。
以下が体を正常に保つ上での参考値になります。
特に高いのも気をつけないといけないですが、低いのは慢性的な低栄養状態とも言えますので気をつけないといけません。
基準値と栄養学的基準は違います。
体の不調を取り除くには栄養学的基準値を意識していくのがいいと思います。
検査項目 | 基準値 | 栄養学的 基準値 | 警告値 | 危険値 |
LDL –Cho | 60〜140 | 100〜160 | 100未満 | 80未満 |
HDL –Cho | 40〜65 | 50〜70 低LDL +高HDLは注意 | 50未満 | 30未満 |
総コレステロール | 130〜220 | 150〜250 | 150未満 | 120未満 |
アセチルCoAは三大栄養素を素としているため低コレステロールは低栄養状態を意味し、血糖、血圧維持のホルモン、性ホルモン分泌に問題を抱えます。
高コレステロールも問題ですが、低コレステロールも問題がある事も重要です。
LDL コレステロールが高いのは結果
健康診断等でコレステロールが高いとお薬が処方され服用し下げる事が多いです。
しかし何故上がるのかを考えないと恐らく根本的な解決にはならないし、無理矢理に下げている状態が長期化すると体にも何かしらの影響は出るのではないかと思います。
LDLコレステロールが上昇する過程はインプット・処理・アウトプットで表されます。
最初は、リノール酸過剰・過剰な糖質・過剰な低糖質などです。
体は反応し、慢性炎症・ホルモン分泌不全が起きます。
結果的に、LDLコレステロールが高くなります。
コレステロール値は結果であり、数値にばかり対処していては改善しないです。
普段の食生活から気をつけていく必要があります。
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コレステロールを下げるには水溶性食物繊維
成人の一日当たりのコレステロール合成量12~13㎎/1kgで血液中にあるコレステロールは体全体の約8%です。
体内コレステロール量は以下でコントロールされています。
コレステロールの合成・吸収は以下になります。
1位:胆汁酸からの再吸収
2位:肝臓で行われるコレステロールの体内合成
3位:食事由来のコレステロール
そして、コレステロールの利用・排泄は・・・
・脂肪吸収のための胆汁酸生成
・ステロイドホルモンの原料
・ビタミンDの原料
実は食事由来のコレステロールの吸収量は体内合成、小腸からの再吸収と比較するとかなり少ないんです。
胆汁酸を再吸収を抑えるのは食物繊維です。
特に水溶性食物繊維は高い吸着力を持ち、コレステロールの体外排泄を促してくれます。
コレステロールが高い場合は水溶性食物繊維の摂取を意識してください。
そして補う意味で足りない場合はイヌリンを摂りましょう。
食物繊維コレステロール値が低い場合はタンパク質代謝を上げる
高コレステロールの方は対処もしやすいですが、意外と思いますが低コレステロールの方が危険です。
コレステロール値が下がっていると・・・
・低タンパク状態、低栄養状態を示す。
・カテコールアミンの生成に難を抱えるため朝起きれない、鬱気味の傾向。
・脂溶性栄養素が吸収できない(VD,VA,胆汁酸)
と低コレステロールはいい状態ではないです。
その改善策は・・・
たんぱく質摂取量を増やす。
腸内環境の改善などがあげられます。
タンパク質代謝不調を改善する為の摂る油と控える油
最後に体の状態に合わせてですが、使う油と控える油を分類しました。
慢性不調がある方は体が酸化している場合は多いです。
ですので体の炎症を抑える考え方で使われるといいと思います。
まずは避けるべき油からです。
・避けるべき油
サラダ油(なたね、大豆、コーン、紅花)※米油は△
マーガリン、ファットスプレッド
・使うべき油
オリーブオイル(炒める時)
米油(少し気をつけて使う)
アマニ油、えごま油(サラダ等にかける時)
まとめ
脂質は生理活性作用があり脂肪酸の事については理解をして食事をする事が慢性炎症を防ぐのに必要です。
そしてコレステロールは悪者ではなく、体に必要な物質ですが、ヒトが悪い油の摂り方をすると体に悪影響を及ぼします。
油は体への影響は大きく、メタトロン測定の時でも油のバランスはかなり意識をして見ています。
この記事が少しでも不調を抱える方の体調改善に繋がる事を願っております。
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