とても興味深い本を読みましたのでご紹介させて頂きます。
前回の「腎臓が寿命を決める」でもご紹介させて頂きましたが、現代食はリンが過剰に含まれており腎臓に負担をかけて早く老けたり、腎臓が弱くなったりするという話をしました。
昔のコンビニもない、電子レンジ、ましてや冷蔵庫もない時代の江戸でどのような食文化を築き生活をしていたのかを書かれておりました。
時代は巻き戻す事はできないですが、昔の人の食生活は現代を生きる僕たちにも参考になる事がありましたのでご紹介させて頂きます。
目次
江戸っ子の食養生
著者は車 浮代先生で時代小説家であり、江戸料理・文化研究家の方です。
江戸は海外の人が驚くほど美しく清潔で、男も女も皆が満足そうに見える事から「まるでユートピア」と驚かれたそうです。
そうしたユートピアの様な生活を支えていた一つの要因が毎日の食事にあると車先生は考えられました。
そして車先生は「生命の根幹は食にあり、体や脳の健康を増進させるのは、食事から取り込む栄養素やエネルギーです。」と考え、江戸の料理や文化を研究し、時代小説を書いていると、江戸の知恵に驚かされる事が多いと書かれていました。
江戸料理の特徴
①冷蔵庫がない=旬の素材を、今日食べる分だけ買って食べる⇨新鮮・栄養豊富・エコ
②燃料費が高い=料理に時間をかけない⇨栄養素を壊さない、時短レシピが多く簡単
③料理法は切る、焼く、煮る=油をほとんど使わない⇨ダイエットによい、ヘルシー
④4つ足食の禁止=肉をあまり食べず、食べたとしても少量⇨がん予防、胃腸に優しい
この4つに集約されていると書いておりました。
飽食の現代、江戸っ子の食事は見習う事が車先生は書いておりました。
食べ過ぎ、飲み過ぎ、過剰に甘い物や辛い物、脂の多い食事、そしてパン類や麺類などへ主食が変化していった。
そして添加物などで食べた時の高揚感は増しますが、将来は病気になるリスクが高くなると考えられます。
現代食は昔の食事と比べるとはるか遠い所にきてしまいました。
しかし今からでも私達にできる事は、江戸っ子の食養生の知恵を学ぶ事です!!
江戸の食事の基本を知る事で、心身の健康に良く、経済的な食事にする事ができます。
しかも江戸料理の良い所は・・・
「さ(酒/砂糖、みりんを含む)、し(塩)、す(酢)、せ(醤油)、そ(味噌)」の基本調味料で作れる事です。
いい基本調味料を使えば、体に添加物が入ってくる量を減らす事ができます。
江戸っ子の教え
この書籍では、江戸っ子の食生活を具体的に後述しています。
各パートに分かれ「江戸の膳」を紹介されており、その膳の中身を、「江戸っ子の教え」としてお話しされています。
細かい部分が知りたい方は書籍にお読み頂き、ここでは概要をお伝えさせていただきます。
今後の食生活の参考にして頂きたいと思っております。
江戸っ子の教え「その1」⇨白米を元気の源にする
現代は「白米は太る」が一人歩きをしてしまい、日本人の米離れが進んでいます。
しかしこれは本当でしょうか?お米で太るのであれば江戸っ子は肥満が多いはずです。
しかし、実際は江戸っ子は筋骨隆々で、現代人は肥満が多い。
これはお米以外に主食の変化やそれ以外の糖質に問題があるのではないかと考えてしまいます。
そして江戸っ子の元気の源である賢いお米の食べ方について解説しています。
特に印象に残ったのは冷や飯。腸内細菌の餌になるレジスターチは冷や飯の方が暖かいお米より1.6倍もの含有量が含まれているという事です。
冷や飯も活用によっては腸活に役立ちそうですね。
江戸っ子の教え「その2」⇨「糠漬け」「米のとぎ汁漬け」で万病を防ぐ
早速、私も「米のとぎ汁漬け」を実践してみました。
とても簡単!!お米のとぎ汁(2回目以降の)をペットボトルに移して200mlに対して6gの粗塩を入れる事で浅漬けの元になるとの事です。
1日つければ浅漬け、1週間つければ漬物となるとの事で私も白菜と人参をとぎ汁につけて楽しみに待っています。
江戸っ子の教え「その3」⇨「豆腐」「納豆」でスタミナをつける
豆腐や納豆は栄養素が豊富であり、バランス食です。
江戸っ子のお腹すいた時は豆腐、納豆は整腸作用や解毒作用があり昔から重宝されています。
ここでは江戸っ子が好きだった「八杯豆腐」について書かれており、とても美味しそうなので私も作ってみようと思います。
江戸っ子の教え「その4」⇨和食の神髄「旨味」も、江戸っ子は「よい加減」
日本食の優れている所は、何と言っても旨味成分だと思います。
出汁により日本の食は味わい深くなって、色々な料理が生まれてきたと思います。
栄養学的に言っても、出汁から取られる成分はグルタミンが多く含まれ、整腸作用や免疫力なども効果も期待できます。
江戸っ子の教え「その5」⇨「味噌」「醤油」で体の毒を出す
味噌と醤油には解毒作用があります。
体には老廃物が溜まりやすいです。日本には昔から解毒食材として醤油と味噌があり、体内の老廃物を体外に排出するので、味噌と醤油はしっかりと摂りましょう!!
江戸っ子の教え「その6」⇨「魚」で体をつくり、「肉」「卵」で滋養をつける
東洋医学の食養生にも繋がる考え方を江戸っ子は実践していたと思われます。
魚はオメガ3系の油も多く、体の炎症を抑えます。
さらにタンパク源も豊富であり日本人の体にはとてもあっていると思われます。
そして肉や卵は滋養効果があり、体も温め、体を強くする作用があります。
江戸っ子の教え「その7」⇨「野菜」で腸の働きを活発にし、老化を防ぐ
野菜は腸の善玉菌の餌になり酪酸菌を分泌し腸内環境を良い状態で保つ事ができます。
さらに、抗酸化作用もあり老化を防ぐ作用もあります。
詳しい食物繊維の事は、こちらの記事を読んだください。
食物繊維江戸っ子の教え「その8」⇨「酢」と「日本酒」で食を豊かにしつつ、感染症も予防
酢と日本酒の共通点は発酵させて作られている事です。
これらの食材は食を豊かにし、発酵作用により、感染症なども予防する作用があります。
まとめ
現代の食事はハイカロリー、過剰な糖質、過剰な油、そして食品添加物により食の変化が起きています。
一方では食材の保存ができたり、すぐに食べれる。などの現代の利点がありますが、その代償としてヒトは病気などを患いやすくなっています。
このままだと不健康な人が増えて元気に幸せな生活を過ごす事が難しくなるかもしれないですし、実際、現代はますますと江戸っ子とかけ離れた生活で昔には無かったであろう病気を患う方が増えています。
こんな時代だかからこそ、もう一度江戸っ子の食養生を知るのもいいのではないかと紹介させて頂きました。