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糖代謝に関わる血液項目

前回は糖質とマグネシウムの関係についてお話ししました。

今回は少し視点を変えて、「中性脂肪」と「血糖値」について見ていきたいと思います。

実は中性脂肪の値は、糖質の摂りすぎや、血糖値の不安定さとも深く関係しているのです。

この記事では、中性脂肪がどうやって作られるのか、また血液検査の項目である「空腹時血糖」と「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」の結果が、体にどんな影響を与えているのか、わかりやすく解説していきます。

糖質代謝と血液検査

体の中で糖がうまく使われないとき、その影響は体調に表れ、血液検査の数値からも読み取れます。

糖が多すぎても少なすぎても、体の調子を崩してしまうのです。

血液検査の結果をうまく読み解くことで、「今の不調は何が原因か?」を推測する手がかりになります。

肝臓で中性脂肪の合成

食事から取り込まれたブドウ糖(グルコース)は、小腸から吸収されて肝臓へ送られ、まずは「肝グリコーゲン」として一時的に貯蔵されます。ところが、それでも糖が余ると、体はその糖を”中性脂肪”として蓄えはじめます。

ある程度の量であれば問題ないのですが、中性脂肪がつくられすぎると肝臓にたまり「脂肪肝(しぼうかん)」という状態になります。よく「フォアグラのような状態」と表現されるものです。これは慢性的な炎症のもとにもなるため、注意が必要です。

中性脂肪とは?

血液の中に含まれている「リポたんぱく質」と呼ばれる運び屋が、中性脂肪やコレステロール、脂溶性ビタミンなどを全身に届けています。この中に含まれる中性脂肪の量を測定したのが「中性脂肪(トリグリセリド)」という血液検査の数値です。

血液検査の目安⇓

検査項目基準値分子栄養学的 基準値警告値危険値
中性脂肪30〜14980〜10080未満100以上50未満150以上

血中のリポタンパクが含むエネルギー貯蔵としての中性脂肪を測定しているのが上記数値になります。

リポたんぱく質とは必要な組織に中性脂肪・コレステロール・脂溶性ビタミンなどを運搬する為の構造物です。

どんな脂質を運ぶかにより、キロミクロン・VLDL・LDL・HDLなどと名前が変わります。

超低密度リポタンパク質VLDL:内因性の中性脂肪。肝臓で作られた中性脂肪を組織へ運搬

低密度リポタンパク質LDLコレステロール:コレステロールを肝臓から全身の組織へ運搬

高密度リポタンパク質HDLコレステロール:全身の組織から余分なコレステロールを肝臓に戻す

キロミクロン-食事由来の中性脂肪:食事から吸収した脂質を小腸から組織へ運搬

このような役割があります。

中性脂肪が高くなる理由

・食後5時間以内

・脂肪肝

・糖質や脂質の過剰摂取

中性脂肪が低くなる理由

・栄養不足

・交感神経が過度に働いている状態

・低糖質ダイエット

・甲状腺機能亢進

空腹時血糖とHbA1cについて

「空腹時血糖」は、何も食べていない状態での血糖の量。

「HbA1C」は、ここ1〜2カ月の平均的な血糖状態をみる指標です。

どちらも糖の代謝バランスを見る重要な検査です。

前回まで糖質の事について解説していきましたが、中性脂肪の値も糖質摂取量や低血糖への陥りやすさと繋がっています。今回は中性脂肪合成の流れや空腹時血糖値やHbA1Cの値によって体にどのような影響が出るかを解説していきます。

検査項目基準値分子栄養学的基準値警告値危険値
空腹時血糖70〜11090〜10090未満110以上80未満110以上
HbA1C4.3~5.84.8~5.24.8未満5.2以上4.6未満6.0以上

空腹時血糖はその瞬間のグルコース、HbA1Cはこの2ヶ月ほどの血糖の推移を示していいます。

空腹時血糖値が126mg/dlが常態化していれば糖尿病と診断される。そのため食後5時間以内の採血であるか確認。

HbA1Cは糖化したヘモグロビンであり、高血糖が常態化することで増加します。

空腹時血糖について

高値の場合は基本的には糖尿病もしくは予備軍を疑い、低値の場合は血糖調整障害を疑います。

血糖値の慢性的な上昇は導尿病や予備軍を疑います。

血糖値が低い場合は、血糖をうまくコントロールできない(機能性低血糖)の可能性があります。

HbA1cが上昇する場合

高血糖状態の維持を疑う。

だが機能性低血糖症の場合はHbA1Cに反映されない事があるので注意が必要です(低血糖の時間が長いと糖化する時間がないので低くなると言われています)。
 

HbA1cが低い場合

低血糖の傾向があり、貧血の可能性もあります。

砂糖(スクロース)の摂取は

1、ビタミンB1

2、マグネシウム

を無駄遣いしてしまい、欠乏を招き機能性低血糖に陥ってしまう可能性があるので注意が必要です。

これらはブドウ糖をエネルギーに変える際にとても大切な栄養素です。砂糖をとりすぎると、体内のビタミンB1やマグネシウムが大量に使われ、結果的に不足してしまいます。これが「機能性低血糖(血糖値の乱高下による不調)」を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。

砂糖の代わりに使うなら

ここでは砂糖を使う代わりに代用をするものをご紹介させていただきます。

ラカントS


天然由来の甘味料で、羅漢果(らかんか)という果物とエリスリトールという糖アルコールから作られています。

カロリーゼロで血糖値を上げにくく、インスリン(血糖を下げるホルモン)の過剰な分泌も起きにくいのが特徴です。

料理でも砂糖と同じ感覚で使えるので、肉じゃが」や「煮物」にも使えます。

はちみつ


はちみつにはビタミンやミネラルはごく少量ですが、ポリフェノールや抗酸化物質が含まれている点が魅力です。

一部の研究では、腸内環境の改善や、炎症をおさえる働きも報告されています。

私は仕事中にお腹がすいたとき、ひとさじなめて疲労回復に使っています。

血糖が急に下がる「機能性低血糖」のときの対策にもなります。

まとめ

今回は、中性脂肪・空腹時血糖・HbA1Cといった血液検査の読み取り方を通して、糖質の摂り方が体にどんな影響を与えるのかをお話ししました。

ブドウ糖は、体にとって大切なエネルギーですが、取りすぎたり、質が悪かったりすると、体調不良や脂肪肝、糖尿病などにつながるリスクがあります。

特に、精製された砂糖は血糖値を急上昇させるため、血糖値の乱高下を招きやすく、できるだけ量を控えることをおすすめします。料理には「ラカントS」、間食やおやつ代わりには「はちみつ」など、血糖コントロールをしやすい甘味料の活用も一つの工夫です。

次回は、「実際にどんな食事をすればよいか?」について詳しくご紹介します。

皆様の健康管理のお役に立っていたら幸いです。