前回はタンパク質代謝について解説してきました。
タンパク質代謝体にとってたんぱく質はとっても大事な栄養素です。
それは体の構成はタンパク質で出来ているからです。
糖質も脂質も大事な栄養素ではありますが体の構成に直接には関わりません。
今回はタンパク質の種類と構造について解説していきます。
動的平衡にとっても関与する部分です。
よろしくお願いいたします。
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目次
タンパク質の種類と構造
生物の体ではタンパク質が様々な役割で働いています。
それはタンパク質は遺伝子レベルでの指令を受けヒトの体で使えるように高次構造化されるからです。
まずは生物のタンパク質の種類について解説していきます。
タンパク質の種類
種類 | 役割 | 例 |
酵素タンパク質 | 化学反応を選択的に促進 | 細胞内のあらゆる化学反応を触媒する。消化酵素は細胞外で食物を分解する。 |
輸送タンパク質 | 物質の輸送 | ヘモグロビンは酸素を運搬、その他ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンを運ぶタンパク質もある(アルブミン、RBP等)。 膜輸送タンパク質(チャネル、ポンプ)によって細胞内に様々な分子を通すことが出来る。 |
ホルモンタンパク質 | ホルモンとして生体の調整 | 成長ホルモンやインスリンのようにホルモンとして働く。 |
受容体タンパク質 | 信号分子を受け取る | ホルモンなどの信号分子と結合して信号を細胞に伝える(レセプター)。 |
細胞骨格タンパク質 | 細胞運動や細胞の形を維持 | アクチンフィラメントや微小管を構成するタンパク質 |
防御タンパク質 | 病気から生体を防御 | 抗体は細菌やウィルスを攻撃する。 |
貯蔵タンパク質 | アミノ酸の貯蔵 | 卵白のオボアルブミンやミルクタンパク質カゼイン |
DNA結合タンパク質 | 転写調整 | Znフィンガータンパク質、ロイシンジッパータンパク質など |
構造タンパク質 | 生体組織を形づくる | コラーゲンやエラスチンのように組織の形を保つ |
この様に様々な形でタンパク質は使われます。
つまりタンパク質は・・・
体内の代謝を司るもの、栄養素の輸送に関わるもの、構造や機能を作るものは全てタンパク質なんです。
タンパク質の構造
タンパク質は一次構造から四次構造へと積み重ねられ体内の様々な代謝に関与していきます。
①一次構造 アミノ酸が1列に並んで繋ぎ合わさったものをタンパク質の一次構造と呼びます。
②二次構造 水素結合が起こり、規則的な繰り返しを持つ二次構造となります。
らせん状のαヘリックス、シート型のβシートがあります。
③三次構造 αヘリックス、βシートが結合し、立体構造を造っています。
④四次構造 三次構造が複数集まり、様々な機能を持たせることが可能になります。
代表例はヘモグロビンです。
※立体構造のものを高次構造と呼びます。高次構造は60℃以上の加熱により変性し、壊れやすいです。
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古くなったタンパク質はどうなるの?
タンパク質の生成は分かりましたが、動的平衡で説明したように体は変わらない様に変わり続けています。
その為には常にタンパク質が入れ替わっていく必要があります。
使われたタンパク質はどうなっていくのかと言うと・・・
オートファジー機能により分解されます!
オートファジー(自食作用)
細胞内のタンパク質は様々なストレスによって立体構造が壊れ、変性し、本来の機能を失っていきます。
この不要タンパク質は細胞・臓器を機能低下させ、病の原因にもなるので分解する必要があります。
不要タンパク質はタンパク質分解機構(リソソーム系、カルパイン系、プロテアソーム系)によってペプチドまで分解されていきます。
その機能の事をオートファジーと言います。
オートファジーにより短期間の絶食状態でもアミノ酸を供給し、新規タンパク質の合成、糖新生、TCA回路中間体の供給が可能になり、動的平衡を一時的に維持する能力が生物にはあります。
アミノ酸プール
劣化した約250gのタンパク質が毎日分解(オートファジー)され、血液、肝臓などを循環しています。
この循環しているものを「アミノ酸プール」と言います。
アミノ酸プールにあるアミノ酸は必要な所にアミノ酸を供給します。
①新規タンパク質の合成
②糖新生
③TCA回路中間体
などです。
まとめ
今回はタンパク質の種類と構造について勉強してきました。
タンパク質は作られるばかりではなく、分解され再利用される機能まであると知った時は驚きました。
それだけ生物の体はタンパク質を体から出したくないとも言え、とても大事な栄養素です。
タンパク質合成と分解の過程を知ると、たんぱく質摂取に対する質と量が理解できます。
多く取りすぎても、少なすぎても体には不調が出やすくなってきます。
適切な量を取ることで動的平衡も保ちやすくなると考えております。
今日の記事が皆様のこれからの健康管理の参考になっていたら幸いです。
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