ヒトの体は様々な要素と相互作用を持ち今の状態を保っています。
その代表的な要素は腸内細菌ではないかと思います。
腸内細菌はヒトの体に宿りヒトに対して様々な影響を与えます。
このような宿主と細菌との相互作用(情報伝達)の概念をインターキンダム・シグナリングと言います。
目次
腸と脳の繋がりを作っている主役は腸内細菌叢
ヒトと腸内細菌はどちらも交互に影響を与え続けています。
例えば本来は腸内細菌同士の情報伝達を与えていた物質がヒトと腸内細菌の「界」を超えて宿主に作用すること。
腸内細菌⇨ヒトの作用になります。
腸内細菌が変われば性格も変わると言う位に大きな影響を与えます。
悪玉菌が増えると鬱っぽくなったりイライラしたりします。
しかし、善玉菌が増えると性格が穏やかになったり、怒りにくくなったり、睡眠の質も上がってきたります。
その逆も然り、宿主由来の物質が細菌に作用し、その性質を変化させたり影響を及ぼすこと。
ヒト⇨腸内細菌の作用になります。
ストレスで体に悪いものを食べていると悪玉菌が増えてしまったり、腸内細菌に良い影響を出す食物繊維や発酵食品などを多く摂ると善玉菌が増えていきます。
このように両者は切っても切れない関係でお互いに作用をしながら共生状態を作っています。
このように細菌界と動物界との間の双方向的な情報伝達を指す概念を「インターナルキングダム・シグナリング」
と言います。
ストレスにより悪玉菌が活性化する
ストレスが腸内細菌に影響を及ぼす事は以前から知られていました。
ストレスによる交感神経活性による蠕動運動の低下、免疫抑制などの作用によるものと考えられていました。
しかし、近年ではストレス下で腸管神経叢末端から放出されるカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)やコルチゾールによる直接的な影響があるとされ、カテコールアミンの増加は悪玉菌が活性化されて増殖する事が分かっています。
つまり、体の不調(慢性炎症や低血糖)はカテコールアミンの分泌を促進し、腸内環境を悪化させます。
腸内環境についての記事はこちらを読みください。
リーキーガットシンドロームセロトニンと脳
セロトニンとはハッピーホルモンとも呼ばれているホルモンであり、腸に80%存在しています。
善玉菌がトリプトファンを代謝する事で生成され、セロトニンは腸の運動を起こし排便を正常化してくれます。
セロトニンの構造は大きいため血液脳関門を超えることはできず、腸内セロトニンは脳内セロトニンの量に関与しないと言われていたのですが、近年では腸内細菌が前駆物質である5-HTPを生成し、迷走神経を介して脳へ届き、それがセロトニンへ代謝されている事が分かってきました。
生物ってすごいですね!!って単純にビックリしました笑
BDNF(脳由来神経栄養因子)
前述したように腸と脳、もっと言えば腸内細菌と脳は切っても切れない関係であり密接にお互いが作用をしあっています。
腸の状態を脳に伝えるのは迷走神経であり、90%は上行性でほぼ一方通行であり、腸の状態が悪いと高い確率で脳にも影響が出ます。
BDNFとその受容体は大脳皮質、海馬、視床下部などの部位に高濃度で存在し、神経細胞の維持・新生・神経伝達物質の合成などの作用を持っています。
BDNFはその高含有部位から認知活動、学習、記憶形成などに関わっており、BDNFの少ないマウスでは空間認識能力の低下も認識されているとの事です。
これは腸内環境をよくする事とBDNFを増やす事をしていくと体にはメリットがありそうですね!!
BDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすもの
・食物繊維
・プロバイオティクス
・発酵食品
・DHA・EPA
・亜鉛
・マグネシウム
・ベリー類(酸化ストレスの軽減)
・ケルセチン
・緑茶
・βカロテン
・有酸素運動
・運動
などです。
何か特別な事をするのではと思った方も多いと思いますが、実は普段通りの生活をしながら、そこに体に負担をかけるものは除きながら、必要な物を少しずつ摂っていくというので体が改善していきます。
まずは食物繊維を増やす事は大事です!!
特に水溶性の食物繊維は体の炎症を取り除き、免疫反応を抑制しする作用があります。
食物繊維についての記事はこちらです。
食物繊維食事からは中々たくさん摂れない方にはサプリもあるので、こちらがおすすめです(まずは食事で摂る事が前提です)。
お食事に少し加える、筒に入れる、コーヒーに入れるなど、ほぼ無味無臭などで使いやすいです。
そして次に亜鉛です。
免疫の抑制、腸管の修復、そして何より脳にも多く亜鉛があるので元気が出ます。
こちらも食事軽く取り入れる事ができるのでおすすめです。
私も納豆に混ぜたり、二日酔いの時は味噌汁に混ぜて飲んだりします笑
それぞれの栄養素についての紹介は、また改めてご紹介させていただきます。
まとめ
今回は「インターキングダム・シグナリング」という双方に影響を与え続けているという概念について一緒に勉強してきました。
腸内環境が良いと脳にもポジティブな影響を与え、脳から腸にも良い影響を与えます。その逆も然りです。
ポジティブな影響を双方に与え続けるには、体に負担のかかる食事は避ける、ストレスを取り除く、軽い運動をするという基本的な事が大事になってきます。
そこに少し負担のかかっている臓器に対して良い影響を与える食材などを加えてあげると、きっとポジティブな結果に繋がると思っています。
今後の健康維持の参考にしていただけたら幸いです。